近年、「和歌山市の人口が減っている」という話題を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。商店街の静けさや学校の統廃合といった変化を実感し、「この街に未来はあるのか?」と不安を感じる人も少なくありません。確かに人口の減少は数字として明らかで、かつての賑わいを知る地元民にとっては、さみしさを感じる現実でもあります。
しかしその一方で、「減る」だけではない動きがあるのも事実です。和歌山市では、空き地を活用した開発や自動運転バスの実証運行など、地域の未来を見据えた新たな取り組みが少しずつ進められています。人が減ることで生まれる“余白”を、前向きな変化のチャンスと捉える視点も育まれてきています。
さらに、地元で暮らし続ける人々や新たに移住してきた人たちの声には、「自然と都市のバランスがちょうどいい」「暮らしやすさに魅力を感じる」といった評価が見られます。こうした実感は、人口の数字だけでは測れない「本当の住みやすさ」を物語っています。
この記事では、和歌山市の人口推移の現状や原因、少子高齢化の深刻さを押さえつつ、地元民や移住者の視点から見える希望の兆しや、地域が進めている前向きな取り組みについても掘り下げて紹介します。和歌山市の“今”と“これから”を、改めて見つめ直してみましょう。
和歌山市の人口推移の状況や減少の原因

- 2025年の和歌山市の人口は?最新データと今後の展望
- 人口推移から見るこれまでの変化
- 少子高齢化の状況は?年齢別構成や人口ピラミッドで確認
- 若者が出ていく理由とは?進学・就職先から見るリアルな現状
- 近隣都市と比較!和歌山市の“いま”のポジションは?
- 和歌山市の人口減少対策を検証:効果は出ているのか?
2025年の和歌山市の人口は?最新データと今後の展望
かつて1985年には約40万1千人もの人口を誇った和歌山市ですが、その後は少子化や都市部への人口流出の影響を受け、長期的な減少傾向が続いており、2025年の人口は「約34万人前後」と言われています。
以下は、過去から将来にかけての和歌山市の人口推移をまとめた表です。
(赤字箇所が2025年)
年 | 人口(人) | 備考 |
1985年 | 401,352 | ピーク人口 |
2015年 | 363,854 | 国勢調査 |
2020年 | 356,729 | 国勢調査 |
2022年末 | 350,968 | 住民基本台帳 |
2025年(予測) | 340,000 | 推計 |
2040年(予測) | 307,046 | 人口ビジョンより |
この推計は、和歌山市が策定した第2期人口ビジョンや国勢調査データをもとに導かれたもので、現在の34万人から15年後の2040年には、約30万7千人にまで人口減少すると予測されています。
ただし、この約30万7千人という数値は、かつて(2013年に)28万人台とされていた予測よりも上方修正されたものであり、市が進めてきた子育て支援や移住施策の一定の成果が反映された結果とも言えます。

医療・教育・交通インフラが整った中核市として、和歌山市は比較的「人口維持力がある」とされています。しかしながら、出生数の減少(自然減)と若年層の流出による減少(社会減)という2つの課題は依然として大きな壁となっています。
現在の(2025年)の和歌山市の人口(約340,000人)は、和歌山市がこれまでに取り組んできた移住推進・子育て支援・地域経済活性化などの成果といえる重要な人数です。
この数字となったこれまでの過去をどう捉え、今後どう取り組んでいくかが重要です。
人口推移から見るこれまでの変化
高度経済成長を背景に右肩上がりだった人口も、ピーク(約40万1千人)となった1985年以降は減少傾向が続いています。

1990年代後半から2000年代にかけて若者の進学・就職による都市部への流出で人口が減少。
さらに出生率の低下による自然減も重なり、2020年にはピーク(約40万1千人)から約4万5千人減少し、35万6千人になりました。
この傾向は現在も続いています。一年で数千人規模での減少は、行政サービスや経済活動にも影響を与えるレベルです。
ただし近年、移住者増加や子育て支援の充実により、社会減がわずかに改善された年もあります。
2019年には45年ぶりに転入者数が転出者数を上回り、僅かな改善の兆しも見られました。
平成27年度から「地方創生」として、若者定着のための大学誘致、産業振興、子育て支援、官民協働のまちづくりなどに取り組んできました。その結果、令和元年には、45年ぶりに人口の転入が転出を上回る社会増となりましたが、コロナ禍以降再び社会減となっています。
https://www.city.wakayama.wakayama.jp/1009555/1060127/1060203/1060142/1060143.html
上記は、和歌山市内の出生・死亡を考慮しない数値ですので、人口が増えたわけではないです。(人口自体は減少している)
また、コロナ禍以降は再び社会減となっているため、まだまだ改善に取り組む必要があるといえます。
少子高齢化の状況は?年齢別構成や人口ピラミッドで確認

和歌山市では、人口減少とともに深刻化しているのが「少子高齢化」です。かつて(1960年頃)は現役世代が厚く、子どもも多いバランスのとれた構造でしたが、現在は高齢者の方が多い「逆ピラミッド型」の人口構成に変化しています。
以下、和歌山市の年代ごとの割合を示した表をご確認ください。
年 | 0~14歳 | 15~64歳 | 65歳以上 | 備考 |
1960年 | 約25% | 約68.7% | 約6.3% | ピラミッド型 |
2020年 | 約12% | 約58% | 約30% | 逆ピラミッド型 |
2040年(予測) | 約10%未満 | 約51% | 約39% | 高齢化ピーク |
赤字の部分は2020年の人数です。
また、青字(65歳以上)の列を見ていただきますと、1960年には、65歳以上人口はわずか6.3%でしたが、2020年には約30%に達していることが分かります。
つまり、和歌山市では3人に1人が高齢者という状態になっており、全国平均(約28.9%)よりも高い水準にあります。これは高齢化社会の典型例ともいえる状況です。
一方で、2020年の0〜14歳の年少人口は12%を下回っており、出生数は年々減少傾向です。これにより、現役世代(15〜64歳)の割合が縮小し、労働人口の維持が困難になりつつあります。
2040年には、高齢化率(全人口のうち65歳以上が占める割合)が約39%に達すると見込まれています。中でも後期高齢者(75歳以上)の増加が顕著で、医療や介護などの社会保障への負担が一層重くなると予想されています。
人口ピラミッドは和歌山市の将来像を映し出すバロメーターです。若年層の定着・流入を促す政策が進まなければ、地域社会の持続可能性が脅かされる可能性があるといえるでしょう。
若者が出ていく理由とは?進学・就職先から見るリアルな現状

和歌山市では、毎年多くの若者が進学や就職を機に市外へ流出しています。この現象は「社会減」の大きな要因のひとつとして、地域の活力を奪ってきました。
進学面では、地元に大学が少ないことが課題です。県外、とくに大阪・京都・東京などの都市部の大学へ進学するケースが多く、一度離れた若者が地元に戻ってこないという傾向が続いています。
就職においても、大都市に比べて選択肢が限られています。とくに情報系やクリエイティブ職などの求人が少ないため、自分の希望する仕事に就ける可能性を求めて、若者が外へ出て行く構図ができあがっています。
さらに、地元の経済基盤自体が縮小傾向にあり、中心市街地の衰退や店舗の閉鎖、企業の撤退などが続いていることも影響しています。活気ある就労環境がなければ、定住は困難になります。
ただ、近年はIT企業の誘致や起業支援制度の充実、テレワークの普及など、若者が地元で働ける環境も整いつつあります。将来的にはこの流れが、若者のUターンを促すきっかけになるかもしれません。
近隣都市と比較!和歌山市の“いま”のポジションは?
和歌山市の人口減少問題をより深く理解するためには、近隣の主要都市や日本の大都市と比較することが有効です。
東京の人口状況
日本の首都である東京は、依然として人口流入が続き、多様な産業と雇用機会が集中しています。特に、23区は国内外からの人口流入が顕著で、常に活気に満ちています。
八王子市や江東区といった特定の区市でも人口増加が見られ、その経済的・社会的な吸引力は圧倒的です。
大阪の人口状況
関西の経済の中心地である大阪も、外国人人口の増加が顕著であり、総人口に占める外国人比率も高いです。大阪市では、利便性の高い北区や中央区を中心にワンルームマンションの建設が相次ぎ、20代の単身者を中心に社会増が全国で最も多い状況です。
奈良の人口状況
和歌山県と同様に、奈良県も全国的な人口減少の流れと同様、人口が減少しています。
奈良県の推計人口調査(月報)でも、その状況が示されています。
和歌山市の立ち位置
和歌山市は、大阪まで電車で1時間という好立地にあり、大都市の利便性を享受できる地理的優位性を持っています。
しかし、東京や大阪のような大都市圏が持つ多様な産業や雇用機会、高度な教育機関の集積といった圧倒的な吸引力には及ばず、奈良県を含めた全国的な流れと同様、若者の流出に歯止めがかかっていない状況です。
このため、若者にとっての「住みやすさ」や「働きやすさ」における魅力の創出が課題だといえます。
和歌山市の人口減少対策を検証:効果は出ているのか?

人口減少が続く中、和歌山市では“減り方を緩やかにする”ための対策が多方面で進められています。特に2015年に始まった「まち・ひと・しごと創生総合戦略」以降、子育て支援や移住促進、雇用対策などに積極的に取り組んできました。
具体的な対策は以下のとおりです。
- 中学卒業までの医療費を無償化
- 第3子以降の保育料を無料に
- 三世代同居・近居への引っ越し費用の補助金制度
- 空き家の改修費用に対する補助(上限50万円)
- 若年層向けの就労支援や創業支援の強化
- 首都圏での移住フェアやSNSなどでの情報発信強化
- 空き家バンクの整備とマッチング体制の充実
こうした施策の成果は、少しずつ数字にも表れています。たとえば前述した通り、2019年には45年ぶりに転入者数が転出者数を上回る「社会増」が記録されています。
また、和歌山市が独自に発表した2040年の人口予測も、従来の28万人台から30万人超へと上方修正されています。これは、市の取り組みが将来の定住人口にポジティブな影響を与えると期待されている証拠です。
さらに、2024年度からは「第3期創生戦略」が前倒しでスタートし、デジタル産業の育成や若者支援などを重点に、新たな人口対策が展開されています。
もちろん課題はまだ多いですが、和歌山市は地方都市の中ではいち早く具体策を打ち出し、一定の手応えを得ている自治体のひとつといえるでしょう。持続可能な地域づくりへ向けた“動き出しの早さ”が、今後の大きな武器になる可能性を秘めています。
人口が減少する和歌山市に住んでも意味がない?地元民が本音を語る

- 地元民が感じる人口減少のリアルな影響とは?
- 地元民の本音:人口が減っていく街に住み続ける理由
- 移住者の声:和歌山市のリアルな住み心地とは?
- 和歌山市で子どもを育てる選択に未来はある?教育について考える
- 住んでいても意味がない?和歌山市に住む価値を地元目線で再考
- 人口減少でも前向きな材料も──和歌山市が持てる希望
- 和歌山市には「減る街」ではなく「変わる街」になってほしい
地元民が感じる人口減少のリアルな影響とは?
和歌山市で暮らす(私も含めた)地元民にとって、人口減少の影響は日常においても実感されています。
とくに多く聞かれるのは、かつて活気のあった商店街や繁華街の衰退です。以前は賑わっていた場所も、現在は空き店舗が目立つエリアも存在します。
(「和歌山の繁華街ぶらくり丁はシャッター街?実際に歩いて確認してみた」において、実際にシャッターが閉まっているお店を撮影しておりますので併せてご確認いただければ幸いです)
また、学校の統廃合も進行しており、子どもの通う小学校や中学校が合併され、通学距離が長くなるケースも少なくありません。公共交通の減便やバス路線の廃止もあり、高齢者や車を持たない人にとっては、移動の不便さが生活の質を下げる要因となっています。
加えて、町内会や地域の行事など、住民同士のつながりの場も減少傾向にあります。高齢化が進み、イベントを運営する人手が不足しており、地域コミュニティの維持も難しくなりつつあります。これにより、防災や見守りといった助け合いの機能も弱まりがちです。
一方で、「静かで落ち着いた暮らしができるようになった」という声もあります。人が少なくなった分、騒音や混雑が減り、マイペースに暮らしたい層にとっては、むしろ快適に感じる部分もあるようです。
つまり人口減少は、地元に不便やさびしさをもたらす一方で、暮らし方によっては静けさやゆとりを享受できる側面もあるという、二面性を持っています。
地元民の本音:人口が減っていく街に住み続ける理由

「人口が減っていく街に、あえて住み続ける意味はあるのか?」という問いに、和歌山市の地元民はそれぞれの価値観で答えを見出しています。外から見ると不便に思えるかもしれませんが、実際に暮らす人たちは和歌山市ならではの良さをしっかり感じ取っています。
特に多く聞かれる理由には、次のようなものがあります。
- 親や親族が近くにいて、いざという時に支え合える安心感がある
- 昔からのご近所付き合いが残っており、孤独を感じにくい
- 海や山などの自然が豊かで、四季を感じながら穏やかに暮らせる
- 大阪市内まで電車で1時間圏内という好立地で、都市とのバランスが良い
- 子育てや介護など、家族単位のライフスタイルに向いている環境が整っている
さらに、住宅価格の安さや広さも定住の理由のひとつです。一戸建てに無理なく住める点や、通勤・買い物の混雑が少ない点など、日々のストレスの少なさが心地よさにつながっています。
また、「自分がこの町でできることがある」「地域に役立ちたい」という想いを持つ人も多く、人口が減っていくなかでこそ、自分の居場所や役割を実感しやすいと語る声もあります。
派手さや利便性よりも、暮らしの“深さ”や“安心”を重視する人々にとって、和歌山市は今もなお魅力的な場所であり続けているのです。
移住者の声:和歌山市のリアルな住み心地とは?

「都市部から地方へ移住したいけれど、実際の暮らしってどうなんだろう?」そんな疑問に対して、和歌山市に実際に移住してきた人たちからは、予想以上に住みやすいという声が多く寄せられています。
とくに評価されているのは、自然と都市機能のバランスが絶妙な点です。買い物や医療などの都市的利便性がありながらも、自然豊かな環境で落ち着いた暮らしができるのが和歌山市の魅力です。
移住者から聞かれる主な感想は次のとおりです。
- 「朝に海を散歩できる。自然と共に暮らせるのが魅力」
- 「阪和線が空いていて、通勤も苦にならない」
- 「新鮮な魚や地元野菜が安く手に入り、食が豊か」
- 「地元の人が温かく迎えてくれて、不安がなくなった」
- 「子育て支援が充実しており、安心して子どもを育てられる」
- 「移住者同士のネットワークがあり、孤立を感じなかった」
一方で、「車がないと不便」「情報が届きにくい」などの声もありますが、地域とのつながりや暮らし方の工夫で乗り越えている人が多いのも特徴です。
総じて和歌山市は、「派手さはないけれど、心地よさがある」という評価を受けており、自然・人・支援制度のバランスに惹かれて定着する人が増えていることが分かります。大都市に疲れた人にとっては、まさに“ちょうどいい移住先”かもしれません。
和歌山市で子どもを育てる選択に未来はある?教育について考える

和歌山市で子育てをすることに不安を抱える人は少なくありません。人口減少が続く中で「教育環境は大丈夫?」「将来の進学先や就職先はあるの?」といった疑問が上がるのも自然なことです。しかし、実際のところ和歌山市は子育て支援に力を入れており、その環境は年々整備されています。
例えば、医療費助成制度では中学卒業までの子どもの通院・入院費が無料で、家計への負担が軽減されています。さらに、第3子以降の保育料無償化、三世代同居への補助制度なども用意されており、子育て世代を後押しする取り組みが評価されています。
加えて、自然が豊富な点も見逃せません。子どもたちは海や山、広い公園などでのびのびと遊ぶことができ、都市部にはない自然教育の機会が得られます。地元の人たちと関わりながら育つことで、人間関係や地域への愛着も育まれるでしょう。
確かに、進学や就職のタイミングで都市部に出る子どもが多いという課題もあります。しかし、「子ども時代を和歌山で過ごすことで、生きる力が身についた」という声もあり、地方ならではの良さを評価する意見も根強いです。
未来をどう描くかは家庭によりますが、和歌山市での子育てには「経済的な安心」と「自然とのふれあい」、そして「地域の支え」がそろっており、十分に前向きな選択肢となり得るのではないでしょうか。
住んでいても意味がない?和歌山市に住む価値を地元目線で再考
「人口が減っていく街に住む意味はあるのか?」という疑問は、多くの地元民が一度は抱く思いかもしれません。しかし実際には、和歌山市には他の都市にはない魅力や価値が確かに存在しています。それは日々の暮らしの中でこそ、実感されるものです。
まず、都市圏からのアクセスの良さが挙げられます。大阪市内までは電車で約1時間程度と、十分に通勤・通学圏内でありながら、自然や静けさに囲まれた生活ができます。騒がしすぎず、田舎すぎない絶妙なバランスは、暮らしやすさの大きなポイントです。
また、生活コストの低さも魅力です。住宅価格や家賃が安く、駐車場付きの一戸建てに手頃な価格で住めるなど、都市部では考えられないような豊かな空間が手に入ります。時間にもゆとりが生まれ、家族との時間や趣味に充てる時間が増えるという声もあります。
さらに、地域の人とのつながりがあることで、暮らしに安心感が生まれます。「顔を知っている人がいる」「困ったときに助けてもらえる」といった人間関係の近さは、大都市ではなかなか得られない和歌山市ならではの価値です。
人口の増減だけでは測れない、「自分にとって本当に心地よい暮らし」を考えたとき、和歌山市は十分に意味のある選択肢であり、あえてここに住む理由を見出している人は確実に存在しています。
人口減少でも前向きな材料も──和歌山市が持てる希望

和歌山市では、確かに人口減少が進んでいます。以前のような賑わいを感じにくくなっている地域もあり、「この先、大丈夫なのだろうか」と不安に思う人がいるかもしれません。でも、その一方で、前向きな材料もあります。
空き地を活かした開発が可能
人口減少によって空き地が増えたことは、大きな課題であると同時に、新たな可能性(空き地を活かした開発等)を広げるきっかけにもなります。
- 空き地となった場所に小規模商業施設や集合住宅を建設し、地域に人の流れを取り戻す
- 広い区画を活かして、バリアフリーの平屋住宅や高齢者向け福祉施設を整備する
- 地域住民や団体が、空き地を一時的な交流スペースとして使えるようにする
このように、人口減少による空き地を「使われていない土地」ではなく、「新しい価値を生み出す余白」として活用することが可能です。
技術の発達が地元を支えることへの期待
技術の面でも新しい取り組みが始まっています。2025年1~2月に「自動運転バスの実証運行」が和歌山市で行われました。これは高齢化や運転手不足への対応策として期待されており、地域の移動手段の選択肢を広げる可能性があります。

さらに、将来的には遠隔医療の導入や、AIを活用した防犯システム、ロボットによる高齢者支援などの実装も視野に入っており、人手が減っても生活の質を保つ仕組みが現実味を帯びてきています。
テクノロジーと地域資源をうまく掛け合わせることで、人口減少という課題の中にも希望を見いだせる状況が、少しずつ整いつつあるというわけですね。
(参考動画:テスラ社が開発するロボット「オプティマス」)
和歌山市には「減る街」ではなく「変わる街」になってほしい
人口が減っていく現実に対して、「もうこの街に未来はない」と感じる人がいるのも無理はありません。けれども、和歌山市で暮らす地元民として、私は声を大にして言いたいのです。「和歌山市は、まだ終わっていない」と。
たしかに人は減っています。でも、残る人、戻ってくる人、新しく住み始める人たちは、誰もがこの街に“何かしらの価値”を見出しているはずです。それが「家族との距離」だったり、「自然との共生」だったり、「静かで心地よい暮らし」だったり。都会にはない満たされ方が、ここにはあるはずです。
私は、和歌山市が「人口が減るから仕方ない」と諦める街ではなく、「移住で人がきたり、人が残る町にしていこう」と前を向ける街になってほしいと思っています。そしてそんな変化を、地元の一員としてこれからも見届け、支えていきたい。
和歌山は、“減る街”じゃなく、“変わる街”になれる。私はそう信じています。
人口が減少する和歌山市に住んでも意味がない?記事のまとめ

記事のポイントをまとめます。
- 和歌山市の人口は1985年の約40.1万人をピークに減少を続け、2025年には約34万人と予測されている。
- 人口減少の主な要因は出生数の減少(自然減)と若年層の転出(社会減)によるもの。
- 和歌山市は医療・教育・交通インフラが整った中核市で、一定の「人口維持力」があるとされている。
- 第2期人口ビジョンでは、2040年の人口予測が約30.7万人とされ、かつての28万人台の予測より上方修正されている。
- 2019年には45年ぶりに転入者数が転出者数を上回り、社会減が一時的に改善された。
- コロナ禍以降は再び社会減に転じ、依然として改善の余地がある状況が続いている。
- 和歌山市では1960年には高齢者が6.3%だったが、2020年には30%に増加、2040年には39%に達すると予測されている。
- 子ども(0〜14歳)の割合は1960年の25%から2020年には約12%未満に減少。
- 労働人口となる15〜64歳の割合も減少しており、経済活動への影響が懸念されている。
- 若者の進学・就職先が都市部に集中しているため、和歌山市からの若者流出が続いている。
- IT企業誘致やテレワーク環境整備など、若者定着への可能性もある。
- 和歌山市の人口減少対策として、医療費無償化や空き家改修補助などの施策が実施されている。
- 技術面では自動運転バスの実証運行など、新たな社会課題への対応が始まっている。
- 地元民・移住者の声からは、「自然環境が豊か」「住みやすい」などのポジティブな評価もある。
- 空き地を活かした再開発や、技術の発達など、人口減少という課題の中にも希望はある。
- 和歌山市は「減る街」ではなく「変わる街」として、前向きな未来に期待したい。
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