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和歌山に伝わる妖怪10選!妖怪ゆかりの地も併せて紹介

和歌山の伝承

こんにちは、和歌山リーマンです。
和歌山には、自然豊かな環境と長い歴史の中で、数多くの妖怪伝承が残されています。

妖怪たちは、和歌山に住む人々の暮らしや信仰と深く結びつき、単なる恐怖や怪奇の存在としてだけでなく、自然への畏敬を表す象徴として語り継がれてきました。和歌山の観光スポットの中には、こうした妖怪伝説が色濃く残っている場所があります。

今回の記事では、和歌山に伝わる妖怪と関連するスポットを紹介していきます。妖怪たちの伝承を通して、今まで知らなかった和歌山の歴史や自然を感じてみてください。

和歌山に伝わる妖怪10選

和歌山に伝わる妖怪の伝承を、ご確認ください。

一つたたら(一本だたら)

一つたたら(一本だたら)は、和歌山県や奈良県の山岳地帯に伝わる一つ目一本足の妖怪です。
一本踏鞴、一つ目だたらなど、様々な呼ばれ方があります。

その姿は巨大で、一本足で飛び跳ねながら山を駆け巡るとされています。特に「果ての二十日」と呼ばれる12月20日には山に入るべきではないとされ、この日に入山すると一本だたらに出会い、災厄に見舞われるという戒めが伝えられています。

名称の一つだたらの「だたら」は「タタラ師(鍛冶師)」に由来しており、一つだたらの出没場所が鉱山跡に近いことに関連するとの説もあります。また、一つだたらの怪力や異形の姿は、山神や修験者の姿が妖怪として描かれた可能性も考えられています。

和歌山の東牟婁郡那智勝浦町樫原では、狩場刑部左衛門(かりば ぎょうぶざえもん)という武者が、一つだたらを弓で退治したという伝承が伝えられています。

カシャンボ

カシャンボは、和歌山県に伝わる河童の一種で、川で暮らす河童が山へ入るとカシャンボになるといわれています。

この妖怪は、小さな子どもの姿をしているとされ、普段は人に対して悪意を見せない穏やかな性格として描かれることが多いです。しかし、農作業中の馬や牛に悪戯をすることがあるため、農村では警戒の対象となっていました。

カシャンボの伝承は、特に和歌山南部で広く受け継がれており、​カシャンボの存在を「山の守り神」として捉え、自然や環境と調和しながら暮らすことの象徴とされています。このように、カシャンボは和歌山の豊かな自然と文化に根ざした妖怪として、現在も語り継がれています。

牛鬼

牛鬼(うしおに、ぎゅうき)は、(和歌山を含む)西日本に伝わる恐ろしい妖怪です。その姿は、頭が牛で体は鬼、または、その逆に頭が鬼で、胴体は牛など様々な話が伝わっていますが、江戸時代に描かれた妖怪絵巻では、牛の首をもち蜘蛛の胴体を持っている姿で多く描かれました。

和歌山県の伝説では、牛鬼が水辺や滝壺に現れ、出会った人を病気にさせたり、命を奪うなど、人々に災いをもたらす存在として恐れられてきました。西牟婁郡の牛鬼淵など地名にもその名が残り、地域の人々に深い印象を与えています。

一方で、牛鬼には人間に優しさを見せる伝承もあり、例えば、空腹の女性に食事を与えた青年が後に洪水で危機に瀕した際、その女性が実は牛鬼の化身であり、命を救ってくれたという逸話が伝わります。このような物語は、牛鬼が単なる恐怖の存在ではないと描かれており、牛鬼は、自然や信仰が反映された妖怪と言えるでしょう

清姫

清姫は、和歌山県日高川町の道成寺にまつわる伝説の中で語られる妖怪です。

平安時代、紀伊国牟婁郡真砂の娘清姫は、旅の僧侶安珍に一目惚れし、女だてらに迫ります。安珍は僧の身ゆえに当惑し、必ず帰りには立ち寄ると口約束だけをしてそのまま去っていきました。

しかし、彼が恋を拒絶し、出発時に「帰りに再会する」と嘘をついたことを知ると、怒りに燃えた清姫は彼を追いかけ始めます。逃げる安珍を追ううちに、清姫は激しい情念から大蛇に変身し、安珍が身を隠した道成寺の鐘に巻き付き、その鐘ごと焼き殺してしまったと言われています。

【わかやま歴史物語より引用】絵巻『道成寺縁起』蛇身となった清姫が鐘の中の安珍を焼き殺そうとする様子を描いたもの。

この伝説は、紀伊の道成寺に深く関連しており、多くの観光客が伝説の現場である道成寺を巡ります。清姫の物語は、恋愛と執念、そして変身という妖怪のテーマが色濃く反映されたものといえるでしょう。

磯天狗

磯天狗(いそてんぐ)は、和歌山県新宮市などの海岸地域に伝わる妖怪です。

一般的な天狗が山に住むのに対し、この磯天狗は海の岩場や磯に住んでいるとされ、漁師や海の近くに住む人々の間で語り継がれてきました

磯天狗は、河童の一種という説もあり、怪火を出す存在として知られています。特に、夜の海でぼんやりとした灯りが水面に揺れ動き、磯の方へ移動したかと思うと、突然火柱が上がり岩礁を大きく照らすといった現象が報告されています。

この怪火は、愛知県や三重県でも目撃されており、漁師たちの間では磯天狗が現れると魚が獲れなくなると信じられていました。また、磯天狗は火の玉のような姿で現れ、漁師が大量の魚を獲った際に火の玉が飛来し、念仏を唱えると火の玉は消えたものの、気づくと魚がすべて消えていたという伝承もあります。

このように、磯天狗は海辺での怪火現象として語り継がれ、漁業に従事する人々にとっては注意すべき存在とされてきました。その伝承は、海の神秘や自然現象への畏敬の念を反映していると考えられます。

肉吸い

「肉吸い」は、和歌山県の果無山脈や三重県熊野市の山中に伝わる妖怪です。

夜遅く、提灯を灯して山道を歩く人間に対して、18~19歳の美しい女性の姿に化け、「火を貸してくれませんか」と声をかけ、提灯を取り上げて火を消し、暗闇の中で相手に食らいつき、肉を吸い取ったと伝えられています

このため、地元の人々は、火の気なしに夜道を歩くことは避け、どうしても夜道を行く際には提灯と火種を用意しておき、肉吸いに提灯を奪われたときには火種を振り回して肉吸いに打ちつけて退散させるようにしていたといいます。

南方熊楠の随筆『南方随筆』には、明治26年に、ある郵便配達員が肉吸いに遭い、火縄を打ちつけて退散させたと記しています。肉吸いは、多くの伝承が伝わる極めて特殊な妖怪で、諸外国にも類似した者はいない存在です。

高坊主

高坊主(たかぼうず)は、主に四国や近畿地方(和歌山を含む)に広く伝わる妖怪で、その名の通り非常に背の高い僧侶の姿をしている妖怪です。

高坊主は、急ぎ足になると追いかけてきて、ゆっくり歩くと遅くなるなど、人の後を追う特徴を持ち、ある決まった場所で姿を消すとされています。直接的な危害を加えることはないものの、遭遇した人は帰宅後に必ず病気になると言われていました。

また、和歌山では、巨大な身体と力を持った坊主が、夕方や夜に突然現れて人々を驚かせたり、夕方遅くまで外で遊んでいる子供をさらう(さらわれたら二度と戻らない)という伝承が残っています。

高坊主の正体は、タヌキが化けたものと言われています。また、臆病者が自分の影の長く伸びた様子を見誤ったものという説もあります。

黒眚(シイ)

妖怪「黒眚(シイ)」は、和歌山県や広島県などで伝承されている、イタチに似た姿を持つ妖怪です。

黒眚は、夜になると人家に侵入し、そこで飼われている牛馬に危害を加えて死に至らしめるといいます。たとえ戸締りをしていても、家に侵入する力を持っているそうで、黒眚は賢い上に素早いのでなかなか捕えることもできません。

また、和歌山県(有田郡廣村(現 広川町))ではヤマアラシと同一視されており、毛を逆立てる姿を牛がたいへん恐れるため、牛を飼う者は牛を移動させる際に、「後ろに黒眚(シイ)がいる」という意味で「シイシイ」と命令するのだといいます。

送り雀

送り雀(おくりすずめ)は、和歌山県や奈良県吉野郡東吉野村に伝わる妖怪です。

「雀送り(すずめおくり)」とも呼ばれ、その鳴き声が実在の鳥であるアオジに似ていることから「蒿雀(あおじ)」とも称されます。

夜間、山道を歩く人の前に現れ、「チチチチ……」と鳴きながら飛び回るとされています。特に、提灯を灯して歩く人に寄ってくるとも言われ、和歌山の妙法山でよく目撃されたとの伝承があります。

この鳴き声の後には、狼や妖怪「送り狼」が現れるとされ、道で転倒するとすぐに襲撃されると信じられていました。そのため、送り雀の鳴き声を聞いた者は、転ばないよう足元に注意を払いながら歩いたと伝えられています。また、鳥の姿とされるものの、その姿を見た者はいないとも言われています。

このように、送り雀は和歌山県を中心に伝承される妖怪であり、和歌山の自然環境や人々の生活と深く結びついた存在として語り継がれています。

茶袋

茶袋(ちゃぶくろ)は、和歌山県印南町など印南川流域に伝わる妖怪で、茶を煎じる際に用いる布製の袋の形をしています。

この妖怪は、主に人家のない寂しい川辺や山間部で目撃されることが多く、宙に浮かんだり、川の上を漂ったりする姿が報告されています。特に、夜間に高い木の枝からぶら下がっている様子や、空中をさまよう姿が目撃されています。

茶袋に遭遇すると、さまざまな病気を患うと信じられており、地域の人々からは恐れられていました。また、川で茶袋を見かけた者が、首筋に冷たい感触を覚え、上を見上げると宙に浮いた茶袋が雫を垂らしていたという伝承もあります。

このように、茶袋は和歌山に伝わる独特の妖怪となっています。

和歌山に伝わる妖怪ゆかりの地(妖怪スポット)

ここからは、和歌山に伝わる妖怪に関係のあるスポット(和歌山の妖怪ゆかりの地)を紹介していきます。

狩場刑部左衛門記念碑(一つたたらを退治した英雄が祀られる場所)

(画像:ふるさと色川様より引用)

妖怪一つたたらを退治した狩場刑部左衛門は、その功績として約3,000ヘクタールもの広大な山林が恩賞として与えられましたが、彼はその広大な土地を自らの利益として独占することなく、色川郷18ヶ村に譲り渡しました。この行動により、地域の人々は農業や林業を発展させ、豊かな生活基盤を築くことができたのです。

狩場刑部左衛門の死後、王子神社が作られ、地元の人々は狩場刑部左衛門を地域の氏神(王子権現)として祀りました。1910年に明治の神社合祀令により、王子神社が廃社となった後も、郷民は字栃谷にある墓地に石塔を建て遺徳を偲び、1918年には墓地が広げられて、狩場刑部左衛門神社および狩場刑部左衛門記念碑が建てられました。

項目内容
名称狩場刑部左衛門記念碑
住所和歌山県東牟婁郡那智勝浦町樫原81
(狩場刑部左衛門神社内)
建設年1918年
googlemaphttps://maps.app.goo.gl/BSiPpPEEj1hHUxoz6

なお、一つたたらは盗賊であったという説もあります。このあたりも含めて、狩場刑部左衛門や、狩場刑部左衛門神社、狩場刑部左衛門記念碑について、以下の記事で詳しく解説しているのでご確認ください。

道成寺(清姫伝説の舞台)

(画像:じゃらんより引用)

道成寺は、日本最古の鐘楼を持つ寺院で、清姫伝説にまつわる多くの遺物や資料が展示されています。毎年行われる「道成寺会式」では、清姫伝説を題材にした舞踊が披露され、多くの観光客が訪れます。

項目内容
名称道成寺
住所和歌山県日高郡日高川町鐘巻1738
拝観時間9:00~17:00(年中無休)
特徴安珍清姫伝説の舞台となったお寺
googlemaphttps://maps.app.goo.gl/xAAvob37KfNz6ijm6

琴の滝(牛鬼伝説の伝わる地)

琴の滝は、和歌山県西牟婁郡すさみ町の広瀬渓谷に位置する美しい滝で、牛鬼伝説が伝わる場所として知られています。

この滝は、周参見川の支流である上戸川の広瀬谷にかかり、周囲は和歌山県自然環境保全地域に指定され、豊かな自然が保護されています。

ある日、滝の近くで草を刈っていた百姓が牛鬼に遭遇し、影を食べられてしまいました。この出来事を知った村人たちは、正月に牛鬼の好物である酒を滝の前に供えました。酒好きの牛鬼は大いに喜び、それ以降、村人たちの影を食べることはなくなったと伝えられています。

現在、琴の滝へは、かつて存在した山村都市交流施設「琴の滝荘」の駐車場から広瀬渓谷遊歩道を約1km上った場所にあります。滝の周辺には、戦国武将の隠れ里跡もあり、歴史と自然が融合した観光スポットとなっています。

項目内容
名称琴の滝
住所和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見
滝の規模落差20m
特徴牛鬼伝説の伝わる滝
ホームページhttps://susami-kanko.com
googlemaphttps://maps.app.goo.gl/2z1aUKSUzidTK9YdA

和歌山に伝わる妖怪や妖怪ゆかりの地の魅力

(画像:Wikipediaより引用)

和歌山県に伝わる妖怪たちは、ただ恐怖をもたらす存在というだけでなく、自然や人間の生活、地域の文化と深く結びついた存在です。

山々や川、海と共に語り継がれてきたこれらの妖怪たちは、地域の人々にとって自然の力や神秘を感じさせる象徴でもありました。つまり、妖怪たちの伝承には、自然に対する畏敬の念が込められているというわけですね。

和歌山の妖怪伝承は、地域の歴史に触れることにつながり、私たちに新たな発見や学びをもたらしてくれます。本記事が和歌山の妖怪伝承に興味を持つのに少しでも役立ちましたら幸いです。

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