こんにちは、和歌山リーマンです。
和歌山県中央部に位置する「龍神村(りゅうじんむら)」は、古くから人々に愛され、豊かな自然と独特の文化が息づく地域です。
その村名である龍神の名前の由来には、古くからの経緯があり、それは龍神村の魅力をより一層深めています。
この記事では、龍神村の名前に込められた歴史や背景について解説してきます。この地がどのように形作られてきたのかを知ることで、地域の魅力に対する理解が深まると思いますので、最後までご覧いただければ幸いです。
龍神村の名前の由来は?和歌山に伝わる伝説を辿る
龍神村の名前の由来に関して、伝説を解説していきます。
龍神村とは
龍神村は、和歌山県の中央東部、田辺市に位置する地域の名称です。
日本三美人の湯の一つでもある龍神温泉がある地域で、この地域を流れる清流・日高川は、鮎やアマゴなどの渓流釣りの名所として知られています。
総面積の95%が森林で占められており、この豊富な森林資源を活かし、古くから林業や木材加工が主要な産業となっています。
龍神村の名前の由来
現在の龍神村は、1889年(明治22年)に複数の小さな村が合併して誕生しました。
当初は、「龍神村」、「三ツ又村」、「広井原村」、「湯ノ又村」、「小又川村」という5つの村が一つとなり、自然豊かな山間の村としての形を形成しました。
1955年(昭和30年)には、さらに「龍神村」、「上山路村」、「中山路村」、「下山路村」が合併し、現在の龍神村の地域が確立しました。
1889年合併前の龍神村
さて、1889年合併時の5つの村を見ると、すでに龍神村という名前があります。
【合併時の5つの村:龍神村、三ツ又村、広井原村、湯ノ又村、小又川村】
上記を見ると、「最初の龍神村はいつできたのか、名前の由来は何なのか?」という疑問が出てきます。
例えば、旧高旧領取調帳(明治時代初期に作成された、江戸時代における日本全国の村落の実情を把握するための台帳)のデータベースで検索(旧国名紀伊国で検索)すると、龍神村の名前はすでに存在します。
(旧高旧領取調帳データベースより引用)
紀伊国 日高郡 竜神村
上記の通り、江戸時代にはすでに「竜神村」が存在していたようです。
【なお、竜と龍については同じ文字と考えていいようです】
(語源由来辞典より引用)
漢字の「竜」「龍」はともに、頭に冠をかぶり胴をくねらせた大蛇の形を描いたもの。旧字体は「龍」であるが、使用は「竜」の方が古く、「竜」にいろいろな模様を添えた字が「龍」である。
この江戸時代以前の龍神村の由来は何なのかについて、次項以降で考えていきます。
龍神村(江戸時代以前)の名前の由来
龍神温泉由来説
「龍神温泉がある村」だから「龍神村」になったという説が最も有力です。
(龍神村は龍神温泉の開湯が由来、と言われているため、龍神温泉から名前をとったということになります)
なお、龍神温泉の由来については後ほど解説します。
源氏(龍神氏)由来説
「源氏」の子孫が名乗りを「龍神氏」に変えて、そこから龍神村が生まれたという説もあります。
龍神氏については、以下を参照してください。
(紀州城郭探訪記様より引用)
龍神氏
龍神氏の祖である源頼政は、治承四年(1185年)五月に平家と宇治川で戦い奈良へ逃れる途中に敗死(平等院で自害とも)した。五男頼氏が難を逃れ山地荘(田辺市龍神村殿垣内周辺)に隠れ住んだという。
この龍神氏が村を治めて、龍神村ができたという説ですね。
ただし、龍神氏が元になっているという説は正直微妙(誤りの可能性が高そう)です。
理由として、龍神温泉を開いたとされる空海が「774年~835年」に生きており、龍神温泉(龍神という土地)はその頃に生まれたからです。
源頼政の五男頼氏が龍神村の地域に来た「1185年頃」には、龍神温泉ができてから300年以上経っていることになり、その時点で龍神村は存在した可能性は高いと考えています。
■龍神氏の由来は龍神の土地
逆に、源氏の子孫が龍神氏を名乗り始めたのが、龍神の土地が由来になっている可能性が高いようです。以下をご確認ください。
(観光業界専門紙「トラベルニュースat」様より引用)
龍神温泉・季楽里龍神近くにあるのが皆瀬(かいせ)神社。15世紀後半に龍神村の統治者だった龍神家によって創建された。龍神家の始祖は12世紀末に龍神村へ落ち延びた源頼氏(みなもとのよりうじ)で、6代目から土地の名を取って龍神姓を名乗り始めたという。
つまり、源頼氏が龍神性を名乗り始めた頃には、「龍神」という土地があったということになります。
(ただし、龍神という古くからの土地を治めた龍神氏が、龍神村の名前を明確化したという可能性はあるかもしれません)
龍神温泉の由来【和歌山の龍神村に伝わる開湯の伝説】
続けて、龍神温泉の名前の由来(開湯の伝説)について解説していきます
最初に温泉が発見されたのは、西暦700年頃(約1,300年前)で、「役小角(えんのおづぬ)」という修験者が温泉を発見したとされます(この頃にはまだ龍神の名前はありません)
その後、「空海(弘法大師)」が、「難陀龍王(なんだりゅうおう)」という龍神の夢のお告げによって、温泉を開き、そこから龍神温泉の名前がつけられたようです。
なお、「難陀龍王」は仏教において『法華経』に登場する天龍八部衆の一つで、仏法を守護する龍族の王として知られています。この龍神(難陀龍王)が、龍神村の名前の由来ということになります。
龍神村の年表
龍神村の年表を、以下の通りとりまとめました。
推測も含まれる年表ですが、参考にしていただければ幸いです。
まとめ:龍神村の名前に込められた歴史と自然の魅力
龍神村は、和歌山県の豊かな自然と歴史を持つ地域であり、その名前の由来には深い伝説と歴史が込められています。
「龍神」という名称の由来は、弘法大師が夢のお告げで温泉を開いたという「難陀龍王」が元になっている説や、平安時代に源頼氏がこの地に住みつき「龍神氏」と名乗ったことに由来している説があります。
こうした歴史と自然の恵みが融合した龍神村は、単なる観光地としてだけでなく、地域の人々が大切に守り伝えてきた文化や伝統の象徴です。龍神村を訪れることで、現代ではあまり触れることができない日本の文化を見ることができるでしょう。
豊かな自然と、歴史ある土地や、龍神温泉を体感しに、ぜひ一度、龍神村を訪れてみてはいかがでしょうか?
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