こんにちは、和歌山リーマンです。
先日こんな記事を読みました。
和歌山のIRについての記事です。
一部引用します。
和歌山県は、和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」にIRの誘致を進めていて、和歌山県議会は、県が提出した整備計画を国に申請するための議案について、先週から臨時議会を開いて審議を行ってきました。
そして、19日の特別委員会での採決では、「資金調達の計画が不確実だ」などといった指摘が相次ぎ、議案は委員会で否決されました。
これを受けて、20日に開かれた本会議で、無記名投票で採決が行われた結果、賛成18、反対22で、議案は否決されました。
これにより、和歌山県は今月28日の期限までに国に計画の申請を行うことができなくなり、和歌山のIR計画は白紙になりました。
上記にある通り、IRの申請について和歌山県議会で否決されました。
これで国に申請する期限を過ぎたため、申請ができなくなり、和歌山のIR計画は白紙に戻ることになりました。
本記事では、和歌山のIRについてまとめていきます。
IRのメリットやデメリット、今後の展望についても解説しますので、最後までご覧いただけましたら幸いです。
それでは早速はじめていきます。
本記事の内容
- 1.そもそもIRとは
- 2.和歌山IRの概要
- 2-1.和歌山IRの予定地
- 2-2.和歌山県・和歌山市連携による取り組み
- 3.IRのメリット
- 3-1.地域にもたらす経済効果が大きい
- 3-2.和歌山が魅力的な県になる
- 4.IRのデメリット
- 4-1.治安が悪くなる
- 4-2.ギャンブル依存症が心配
- 5.中止になった理由
- 6.今後の展望
- 7.まとめ
そもそもIRとは
IRとは、「Integrated Resort」の略で、『特定複合観光施設』を指しています。
2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」が可決・成立したことで、この言葉が注目されることになりました。
IRは、国際的なMICEビジネスを展開して、長期滞在に対応した訪日外国人旅行を促進し、来訪客に国内各地を訪れて頂くことにより、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光」を実現することを目的としています。
具体的には、民間事業者が一体として設置し、及び運営する「観光振興に寄与する諸施設」と「カジノ施設」から構成される一群の施設のことを指します。
上記にある通り、カジノを含めた観光施設を設置することをIRと言っています。
このカジノを作るのが日本では初めてのことなので、議論になっているわけです。
ちなみに『MICE』というのは、「Meeting(ミーティング)」、「Incentive(報奨旅行や表彰イベント等)」、「Convention(国際会議・学会等)」、「Exhibition/Event(展示会やイベント)」の頭文字をとった造語ですね。
上記にあるように、会議や旅行・イベント等の開催地に人が集まることでの経済効果を期待しているわけです。
こういったことができる施設のことをMICE施設といいます。
日本のIRは、カジノ施設に加えて、ホテルやMICE施設(国際会議場・展示施設)等、様々な施設が一体となった複合観光施設を指しています。
実際、カジノ面積は全体の3%以下にするようです。
和歌山IRの概要
和歌山IRの予定地
和歌山の候補地は『マリーナシティ』でした。
以下がイメージ図です。
建設予定地はこのようなイメージ。
23.61ヘクタールと、そこそこの広さです。
東京ディズニーランドで51ヘクタールなので、その半分くらいの大きさですね。
和歌山市の中心部からは少し離れていますが、土地や景観の面からマリーナシティにしたのでしょう。
以下は周囲の景観です。
海が見えるのがいい感じですね。
しっかり作ることができれば、良い施設になると思います。
和歌山県・和歌山市連携による取り組み
和歌山IRは、その実現に向けて和歌山県と和歌山市が連携して計画を進めていました。
具体的に見ていきましょう。
和歌山県
和歌山県は、IRの実現に向けてIR推進室を作り、検討・計画を進めました。
これだけのことを計画しようと思うと色々なことを考えなければなりません。
和歌山県特定複合観光施設区域整備計画などを見ると、相当色々考えたことがよく分かります。
IRは国内外からの来訪者の増加による経済波及効果や雇用の創出など、人口減少が見込まれる本市にとって、今後の発展・成長に必要なものであると考えており、IR実現に向け、県と連携して取り組んでいるところです。
この度、和歌山県特定複合観光施設区域整備計画(案)に対する県民意見募集、説明会及び公聴会でいただいたご意見を踏まえ、和歌山県特定複合観光施設区域整備計画を作成しましたので公表します。
和歌山市
また、和歌山市も共同でIR説明会を開催するなど、和歌山県と協力して取り組みました。
IRは国内外からの来訪者の増加による経済波及効果や雇用の創出など、人口減少が見込まれる本市にとって、今後の発展・成長に必要なものであると考えており、IR実現に向け、県と連携して取り組んでいるところです。
仁坂知事・尾花市長の考え
こちらのニュースを見ると、仁坂知事・尾花市長それぞれの思いが見て取れます。
今回、否決となったことは残念だったでしょう。
【和歌山知事“痛恨の極み”】。
IRの議案が否決されたことについて、和歌山県の仁坂知事は、記者団に対し、「痛恨の極みだ。和歌山の衰退を止めるために、IRを最大の起爆剤にしようと思っていたが、次の成長因子を失った状態になった。この計画に全力を尽くしてきたので、次のシナリオがあるわけではないが、別の手段で和歌山県の力を必死に高める責任があると考えている」と述べました。
【和歌山市長“否決は残念”】。
IRの整備計画に同意していた和歌山市の尾花市長は、「雇用創出や経済成長、人口減少抑制などの効果がおおいに期待でき、またとないチャンスと考え、県と連携して取り組んできた。整備計画の認定申請について県議会で否決となったことは残念に思う」というコメントを発表しました。
IRのメリット
ここからはIRのメリットについて見ていきます。
地域にもたらす経済効果が大きい
一番大きいのは、『地域にもたらす経済効果』でしょう。
和歌山IRが実現すれば、和歌山県に多くの人が来訪しお金をもたらします。
IR整備法の基本方針では、『日本におけるIR施設は最大3箇所まで』と定めています。
つまり、『日本で3つしかない施設』を和歌山が有することができたわけです。
和歌山県は、IRの誘致によって、年間約「400万人」の来訪と、「3000億円」の経済効果を見込んでいます。
実際、カジノがあれば人は来るでしょう。
日本人だけでなく、多くの外国人の訪問も見込めそうです。
和歌山が魅力的な県になる
経済効果に付随して、和歌山の魅力が増すこともメリットです。
人が来て収益が増えれば、和歌山が発展します。
和歌山が発展すれば、県としての魅力が増します。
和歌山は現状、年々人が流出する一方となっていますが、その歯止めをかけるための一翼にはなれるでしょう。
現状のままいけば和歌山は終わってしまうことになりそうです。。。。
高齢者が増えていき、働く人も減っていき、未来を担う子どもも少なくなっていくわけですから。
IRが実現すれば、その状況が少しでも改善されるでしょう。
和歌山県の魅力を語るとき、白浜とかが真っ先に出ますが、大阪に近い北部にも行ってみたい場所があれば、県全体として魅力の底上げになります。
IRのデメリット
治安が悪くなる
和歌山IRのデメリットは、『治安が悪くなること』です。
シンプルですが、これが怖いと考えている人が多いようです。
大勢やってきた人がもたらすのはお金だけではありません。
国内外から色々な層の人が来ることになるので、トラブルや事件は当然発生します。
特に心配なのは海外から来る人です。
海外の人は、こちらとは違う常識を持っている部分があるので、予想できないことをすることがあるんですよね。
あとは、ゴミのポイ捨てが増えるといったことも予想されます。
警察の力でポイ捨てを防止できればいいのですが、全てに対応することはできないでしょう。
和歌山県は、「警察官・警察職員の増員」や「警察施設の設置等、警察力の強化」、「暴力団員等の入場禁止」等を行うとしていますが、対応しきれない部分は出るでしょう。
カジノを設置すれば治安が悪くなる……シムシティ理論ですね。
ギャンブル依存症が心配
あとは、ギャンブル依存症が心配という声もあります。
カジノで遊ぶことにはまってしまって、お金を使いすぎてしまい人生を棒に振ってしまうというのもありえない話ではありません。
家族がいる人は、そのことを気にかけている人が多いようです。
子どもや孫がいる人は、家族がそういったものに依存症にならないか心配なのでしょう。
中止になった理由
4月20日の和歌山県議会本会議では、「賛成18」、「反対22」で否決されました。
反対派の理由としては、「資金調達の計画が不確実」というのが主な理由です。
元々の経緯として、カナダの「クレアベスト・グループ」とマカオの「サンシティ・グループ」の2社が和歌山IRに応募していました。
当初は「サンシティ・グループ」が本命と考えられていたのですが、オーストラリアで資金洗浄疑惑を指摘する報告書が公表されました。
サンシティは関与を否定しましたが、数ヶ月後に和歌山のIRから撤退を表明しました。
結果、残る1社のクレアベストが事業者に決まったものの、県議会では、約4700億円とする初期投資額の調達実現性などに不信感があり、県議会での否決となり中止になったわけです。
時間が足りなくて否決された感じもするので、1社目のまま話が進んでいれば、承認されていたかもしれませんね。
今後の展望
国のスケジュールに間に合わなかったので、基本的には計画は無くなります。
以下は観光庁の資料ですが、2022年4月が認定申請の締め切りになっています。
この締切に間に合わなくなったため、計画が無くなってしまったというわけです。
ただ、ニュースでの仁坂知事の発言に、「ひょっとしたら2次募集があるかもしれない。地域発展の起爆剤として有用なので、(その場合は)またチャレンジしたらいい」と語っています。
もちろん可能性は低いでしょうが、もし再度募集されることがあれば、仁坂知事が前向きに取り組む可能性は高いでしょう。
今回和歌山が否決されたのには、業者が変わってしまったことなどで時間が足りなかったという要因もあると思うので、もし次に募集されるようなことがあって、しっかり準備ができるなら、改めて実現ということもゼロではないかもしれませんね。
まとめ
最後に僕個人の意見を書いておきます。
僕自身は、『せっかく機会があるならIRはやった方がいい』という考えです。
なぜかというと、作れば間違いなく人は来るからです。
どれだけ和歌山いい場所と言っても、現実には人がどんどん減っています。
中からは出て行くし、外からは来ないという状況になっているわけですね。
人が減っているのは和歌山に住んでいて肌感覚で感じることです。
IRを作れば、『全て良くなる』とは思いませんが、人がいなくなる状況に対しての歯止めになるのは間違いないでしょう。
数十年後のことを考えたら、和歌山が衰退しない道を選んだ方がいいんじゃないか? と思ってしまいます。
多少無理をしても、やれば豊かさを享受できることってたくさんありますよね。
例えば日本に高速道路を作ったときだって、反対派はたくさんでましたが、結果、皆高速道路を使っています。
IRも同じことではないでしょうか?
…………あるいは結局、計画が頓挫したまま終わるかもしれませんが、今のままではだめです。
和歌山を良くしていく方法を考えなければなりません。
衰退してもいいと考える人がかなりの割合いるのかもしれませんが、それをしてあげないと、未来の若者の機会を奪うことになります。
でも、いい方法ってなかなか思いつかいないんですよね。
少なくとも、ちょっと道路を作ったり、市街地を綺麗にするくらいでは全然足りないのは確かです。
IRでなくとも、何らかの劇薬が必要です。それが見つからないから困るわけですが。
だったらやっぱりIR?
……今の状態では、反対派を抑えての実現はできなさそうです。
難しい問題ですね。
和歌山県議会では、『18対22』という少しの差で割れています。
言い換えれば、少しのことでひっくり返るということでもあります。
少しの差が埋まり、状況がひっくり返り、豊かな未来を享受できれば嬉しいものですね。
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