アドベンチャーワールドのパンダが返還されるのはいつ？和歌山のパンダの今後を解説

「アドベンチャーワールドのパンダたちは、これからどうなるのだろう？」そんな疑問を抱いた方も多いのではないでしょうか。和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドでは、長年親しまれてきたパンダたちが2025年6月末をもって中国へ返還されることが発表されました。ニュースを目にして「なぜ今？」「どのパンダが対象なの？」と気になったり、白浜でパンダに会える貴重な機会が終わってしまうことに寂しさを感じている方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、アドベンチャーワールドのパンダ返還に至った背景や、返還対象となる4頭（良浜・結浜・彩浜・楓浜）のプロフィール、返還までのスケジュールなどをわかりやすく解説していきます。さらに、白浜のパンダたちがこれまでに成し遂げた驚異的な繁殖実績や、地域経済に与えた影響についても触れながら、彼らが残した功績をしっかりと振り返ります。

また、パンダたちと過ごせる残り少ない時間を「推し活ラストチャンス」として盛り上がるファンたちの声や、今後のアドベンチャーワールドの展望についても詳しくご紹介します。国内でパンダが見られる場所が上野動物園だけになる中、全国のパンダファンにとっても大きな節目となる今回の動き。今後の国内パンダ情勢についても合わせて整理しています。

ぜひ最後までご覧いただき、和歌山・白浜で育まれてきたパンダたちの物語と、彼らを見守る人々の想いに触れてみてください。パンダファンの方はもちろん、観光やニュースで興味を持った方にとっても、きっと心に残る内容になっています。

アドベンチャーワールドのパンダたちの返還について解説【中国への返還】

アドベンチャーワールドのパンダ返還の概要

アドベンチャーワールドは2025年6月末頃に、園内のジャイアントパンダ全4頭を中国へ返すと発表しました​。
これは日中間で進めてきたパンダ保護共同プロジェクトの契約満了（2025年8月）の時期に合わせた措置で、パンダへの負担が少ない涼しい6月中の移送が選ばれました​。

返還の理由は、契約期限の到来による貸与契約の終了が大きな理由です​また、中国側の専門家から「高齢のパンダは設備や医療体制の整った中国で余生を過ごす方が望ましい」という意見があり、現在24歳と高齢の良浜については健康面を考慮して中国に戻す判断がなされました​。残る若い3頭（結浜・彩浜・楓浜）は将来の繁殖のためのパートナー探しを目的に帰国させるという位置づけです​。

いずれも中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地に移される予定で​、返還後はそこで新たな生活が始まります。 対象個体: 返還対象となるのは以下の4頭、すべてメスのジャイアントパンダです​。

項目	詳細
良浜（らうひん）	24歳の母パンダ。白浜生まれで、今回返還される3頭の母親個体でもあります。
結浜（ゆいひん）	良浜の子で8歳​。2016年生まれ。
彩浜（さいひん）	良浜の子で6歳​。2018年生まれ。
楓浜（ふうひん）	良浜の子で4歳​。2020年生まれ。

これら4頭はいずれも和歌山のアドベンチャーワールドで生まれ育ったパンダであり、全頭が日本生まれのパンダです​

同園で長年繁殖に携わってきたジャイアントパンダはこの4頭が最後となります。具体的な返還日程は今後正式決定次第発表するとされており​、園では4頭を見送るイベント（お別れ会）の開催も検討しています

白浜のパンダが残したインパクト

国内最多、17頭誕生の快挙

1994年の日中共同繁殖プロジェクト開始以来、アドベンチャーワールドでは計17頭ものパンダの繁殖・育成に成功しました​。

この数字は日本国内最多であり、世界的に見てもトップクラスの繁殖実績です。特に雄の「永明（えいめい）」は同園で 16頭の子をもうけた名オス で、自然交配で繁殖した世界最高齢記録のパンダとして知られます​。

永明は1994年に来日して以来30年近く白浜で過ごし、双子を含む数多くの子をもうける「レジェンド・パンダ」でした​。こうした多数の繁殖成功により、白浜は「パンダの聖地」とも呼べる存在となりました。

地域経済を動かした“パンダ景気”

パンダは白浜観光の最大の目玉でした。同園には年間約100万人以上の来園者が訪れており​。
赤ちゃんパンダ誕生のニュースがある度に多くの観光客が白浜に押し寄せました。

実際、「パンダ見たさ」に白浜を訪れる旅行者は後を絶たず、周辺の白浜温泉郷の旅館やホテル、飲食店、お土産店に大きな経済効果をもたらしました。駅や商店にはパンダの装飾やグッズがあふれ、町全体がパンダで盛り上がる“パンダ景気”と呼ばれる現象も起きていたほどです。​

地元では「パンダがいなくなったら観光に大きな穴が開くのでは」と経済面の影響を不安視する声も出ています。それほどまでにパンダは白浜のブランドそのものであり、地域経済の牽引役でした。

教育・研究拠点としての価値

アドベンチャーワールドは単なる展示だけでなく、パンダの繁殖研究と教育普及の拠点としても大きな役割を果たしました。日中共同繁殖研究は30年にわたり続けられ、2024年にはその成果をまとめた記念のフォトブックも刊行されています​。

繁殖の難しいパンダでこれだけの成功例を積み重ねたことで、繁殖生理や子育てに関する貴重なデータとノウハウが蓄積されました。同園で生まれたパンダの多くは中国へ返還後、世界各地の動物園で繁殖計画に参加しており、白浜生まれのパンダたちが国際的な種の保存に貢献していると言えます。

また、飼育スタッフによるガイドやパンダラブ（繁殖センター）の公開を通じて、来園者はパンダの生態や保護活動について学ぶ機会を得てきました。こうした教育的価値も含め、白浜のパンダは単なる人気者を超えて動物保全のシンボルとなっていたのです。

4頭のパーソナリティと推しポイント

返還予定の4頭それぞれについて、そのプロフィールや性格、「推しポイント」（ファンから愛される魅力）を紹介します。長年家族のように見守ってきたファンも多い4頭だけに、一頭一頭が個性的なエピソードを持っています。

良浜（ラウヒン）

良浜は2000年9月生まれのメスで、日本で初めて誕生したジャイアントパンダです。現在24歳（人間なら高齢に当たる年齢）ですが、とても穏やかで優しい性格をしています。

これまで10頭以上の子どもを育て上げた良浜は「良きお母さん」として知られており、同園スタッフによれば「多くの子を育てた優しいお母さん」だそうです​。常に落ち着いていて包容力があり、赤ちゃんたちにしっかり母乳を与え、大切に育てる姿は来園者の心を打ちました。

その母性溢れる様子から、ファンからは「良浜ママ」の愛称で親しまれています。高齢期に差し掛かりつつありますが食欲は旺盛で、竹を美味しそうに食べる姿は今も健在です。

結浜（ユイヒン）

結浜は2016年9月生まれのメスで、良浜の娘です。現在8歳で、丸い顔に頭の上の毛がぴょこんととがっているのがチャームポイント。

この額のとさかのような毛がとても可愛らしく、ファンの間でも「結浜のとんがり頭」が話題になります。性格は活発で好奇心旺盛。特に水遊びや雪遊びが大好きで、与えられた氷やプールで元気にじゃれつく姿がSNSでも度々注目されました。

また、結浜は閉園間際まで屋外運動場で遊んでいることが多く、2025年4月24日の発表当日も通常なら寝室に戻る時間まで最後まで運動場に残って来園者を楽しませていたと報じられています​。サービス精神旺盛（？）で天真爛漫な結浜は、見ている人を笑顔にしてくれるムードメーカーです

彩浜（サイヒン）

彩浜は2018年8月生まれのメスで、良浜の娘です。現在6歳。出生時の体重がわずか75グラムしかなく、双子の片割れでしたが、懸命な人工保育と母・良浜の愛情によってすくすくと育ちました​。

75グラムというのは通常のパンダの赤ちゃんの半分以下で、生存が危ぶまれましたが、スタッフの24時間体制のケアにより奇跡的に命を繋いだ経緯があります。そのため、彩浜は「小さな奇跡」とも呼ばれ、健やかに成長した今では体重も100kgを超える立派な体格になりました。

性格は甘えん坊で、母・良浜にじゃれついたり、飼育員さんにも愛嬌を振りまく様子が見られます。また、与えられたおもちゃ（竹で編んだボールなど）で遊ぶのが上手で、ボールを大口でくわえて転がす姿に癒されるファンも多いです。幼少期の苦労を乗り越えたたくましさと、その可憐な振る舞いが共存する魅力的なパンダです。

楓浜（フウヒン）

楓浜は2020年11月生まれのメスで、良浜が白浜で産んだ17番目（最新）の赤ちゃんパンダです​。現在4歳になり、やんちゃ盛りの若いパンダです。

幼少期はちょうど新型コロナ禍と重なったため、一般公開はオンライン中継から始まりましたが、その愛らしさに多くの人が癒やされました。楓浜はとても活発で好奇心が強く, 遊びの天才です。木に登ったりぶら下がったりするのが得意で、時には高い木の上でお昼寝して飼育スタッフをハラハラさせることもありました。

また、名前の由来である「楓」のとおり、秋には紅葉と一緒に写真映えする美しい姿も話題になります。母・良浜や姉たちにも物おじせずじゃれついていく甘えん坊な一面もあり、末っ子らしい天真爛漫さで愛されています。

返還までのスケジュール

返還までのスケジュールは、以下の通りです。

2025年4月24日 – 発表と反響

アドベンチャーワールドが公式に4頭の返還計画を発表しました。このニュースは即日全国に伝わり、大きな話題となりました（後述の通りSNSでも関連ワードがトレンド入り）。園長は記者会見で「残り2か月、ぜひともパンダに会いに来てください」と呼びかけています。発表翌日からさっそく「最後に見ておきたい」と駆け付ける来園者の姿も見られています。

2025年4月下旬～5月（ゴールデンウィーク）

パンダたちと過ごせる最後の大型連休ということもあり、白浜への旅行者が増加すると予想されます。例年ゴールデンウィークはパンダ目当ての家族連れで賑わいますが、今年は「見納め需要」でさらに混雑する可能性があります。園では混雑緩和策や感染症対策を講じつつ、できるだけ多くのファンにパンダとの時間を楽しんでもらえるよう準備を進めているとのことです（※具体的なアナウンスは順次公式サイト等で発表予定）。

2025年6月 – お別れイベント開催（予定）

公式発表によれば、4頭を見送るためのイベントを開催検討中とのことです。おそらく6月中旬頃までに一般向けの「お別れ会」が行われるとみられます。過去に上野動物園のシャンシャン返還時（2023年）や、同園で永明・桜浜・桃浜の返還時（2023年2月）には、記念セレモニーやメッセージボードの設置、記念グッズの販売、オンライン配信などが実施されました。今回もファンが直接感謝と別れを伝えられる場が用意される可能性が高いです。園側も「4頭を笑顔で送り出したい」とコメントしており、思い出に残る演出が期待されます。

2025年6月下旬 – 中国へ出発

返還当日は6月末の見込みです。具体的な日程は未定（5月下旬〜6月中旬に決定発表か）ですが、過去の例では早朝に園を出発し関西国際空港から特別貨物機で中国へ向かう段取りでした。輸送には専用の大型ケージが用いられ、パンダに精通したスタッフが同伴します。移送先は四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地で、無事に到着後は中国側のスタッフに引き継がれる予定です​。なお、輸送の様子や到着の速報は日本でもニュース等で報じられるでしょう。こうして、1994年以来約31年続いた白浜でのパンダ飼育は一旦区切りを迎えることになります。

“パンダゼロ”時代、アドベンチャーワールドはどう動く？

4頭が返還されると、アドベンチャーワールドから実物のジャイアントパンダが不在となります。1994年以来、常にパンダがいた同園にとって初めての「パンダ不在（パンダゼロ）の時代」を迎えることになり、運営や集客への影響は避けられません。

この状況下で、園側は、「共同プロジェクトの継続を強く願っており、ジャイアントパンダの保護のためさらなる貢献をするため、中国側と協議を続けていく」とコメントしています​。つまり、今後も可能であれば新たなパンダの受け入れを模索する意向を示しています。

実際、上野動物園でも過去に一時パンダ不在となった際（2008～2011年）に中国から新たな貸与を受け再開した例があり、白浜でも将来的に新ペアの貸与が実現する可能性は残っています。園長も「次のステップにつなげられるように中国側と協議を進める」と述べており​、中国との太いパイプを生かして繁殖プロジェクト再開を目指す姿勢です。

「パンダゼロ」時代を迎えるアドベンチャーワールドは、「将来のパンダ再受け入れ交渉の継続」、「他コンテンツの強化による集客維持」でこの局面を乗り切ろうとしていると考えられます。世界有数のパンダ飼育実績を持つ同園の次なる挑戦に、国内外から注目が集まります。

国内パンダ情勢――上野の“夫婦2頭体制”へ

和歌山・アドベンチャーワールドから4頭のパンダが返還されると、日本国内でパンダに会えるのは東京・上野動物園のみになります。上野動物園では、現在シンシン（メス）とリーリー（オス）の夫婦2頭が飼育されています。かつては2頭の間に生まれた子どもたち、シャンシャン、シャオシャオ、レイレイも展示されていましたが、シャンシャンは2023年に、双子のシャオシャオとレイレイも2024年に中国へ返還されました。

これにより、上野では再び「夫婦2頭体制」となっています。シンシンとリーリーはいずれも2011年に中国から来日した個体で、すでに高齢に差しかかっています。今後の繁殖は難しいと見られており、2頭が中国に返還される可能性も指摘されています。仮にそうなれば、国内にジャイアントパンダがいなくなる「パンダゼロ」の状況が現実味を帯びてきます。

一方、上野動物園側は中国との交渉を続け、新たなパンダの貸与を模索していると報じられています。特に東京都はパンダ人気を重視しており、都知事が直接交渉に乗り出すとの見方も強まっています。今後新たな個体が来日すれば、再び繁殖を目指したペア飼育が実現する可能性も残されています。

国内でパンダを飼育していた他の施設、神戸市立王子動物園は2023年にタンタン（メス）を亡くし、現在はパンダ不在となっています。つまり、今後しばらくは「上野一択」の時代が続く見通しです。白浜と上野、それぞれが築いてきた「パンダのいる風景」が急速に変化している今、全国のパンダファンにとっては目が離せない局面を迎えています。

ファンの声と“推し活”ラストチャンス

アドベンチャーワールドのパンダ全4頭が中国へ返還されるというニュースは、多くのファンに衝撃を与えました。発表直後からSNS上では、「ショックすぎる」「みんな帰ってしまうのは寂しい」「白浜の癒やしがなくなる」といった悲しみの声が相次ぎ、関連ワードがトレンド入りするなど、大きな反響を呼びました。現地を訪れたファンの中には、突然の発表に涙ぐむ姿も見られ、改めてパンダたちが多くの人に愛されてきた存在であることが浮き彫りになりました。

一方で、限られた時間を大切にしようとする動きも広がっています。返還までの約2か月間を「推し活ラストチャンス」と捉え、最後に少しでも多く会いに行こうとするファンが続出。遠方から駆けつける人、週末ごとに通うことを決意する人も現れ、パンダたちとの思い出を一つでも多く残そうという熱気に包まれています。現地では、推しパンダを撮影するための行列ができるなど、園内の活況が報じられています。

また、推しパンダグッズの購入も急増しています。ぬいぐるみや写真集、キーホルダーといった記念商品が売れ行きを伸ばし、品薄状態になるグッズも出始めています。園側も需要を見越して、限定グッズの増産やオンライン販売の強化を検討しており、ファンの「推し活」を支援する動きが進んでいます。グッズを通じて、パンダたちとの思い出を形に残そうとするファン心理が表れています。

今後、正式に発表されるであろう「お別れイベント」でも、ファンが直接感謝を伝える機会が設けられると見られています。寄せ書きボードやオンライン中継など、現地に来られない人も含めた多様な形での参加が可能となるでしょう。別れの時は確実に迫っていますが、ファンたちは最後の瞬間までパンダたちに愛を届けようと、静かに、そして力強く推し活に臨んでいます。

アドベンチャーワールドのパンダたちの返還についてまとめ

記事のポイントをまとめます。

• 和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドにいる4頭のパンダ（良浜・結浜・彩浜・楓浜）が2025年6月末をめどに中国へ返還される予定。
• 返還理由は、日中共同繁殖プロジェクトの契約満了とパンダの健康・繁殖のため。
• 返還対象の4頭はすべて日本生まれのメスパンダで、白浜で生まれ育った個体。
• パンダたちは中国・四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地に移される予定。
• アドベンチャーワールドではこれまでに計17頭のパンダを繁殖・育成し、国内最多の実績を誇る。
• 特にオスの永明は、自然交配で16頭の子どもをもうけた伝説的な存在だった。
• 白浜のパンダ人気による「パンダ景気」で、地域経済に大きな効果があった。
• パンダの存在は観光だけでなく、教育・研究拠点としても大きな役割を果たしてきた。
• 良浜は「良きお母さん」として数多くの子育てに成功し、ファンに親しまれている。
• 結浜は「とんがり頭」と無邪気な遊び好きな性格で、多くのファンを魅了している。
• 彩浜は「奇跡の生還」を遂げた甘えん坊パンダとして知られ、応援されている。
• 楓浜は末っ子らしい天真爛漫な性格で、活発な動きが魅力とされている。
• 返還発表後、ゴールデンウィークには最後の見納め需要で来園者の増加が予想されている。
• 園では4頭を見送る「お別れイベント」の開催も検討されている。
• パンダ返還後、アドベンチャーワールドはパンダ不在となるが、将来的な再受け入れ交渉も模索している。
• 国内では上野動物園のみがパンダを飼育し、シンシンとリーリーの2頭体制になる見通し。
• ファンの間では「推し活ラストチャンス」として最後の思い出作りやグッズ購入の動きが活発化している。