(キャッチ画像:スペースワン公式ページより引用)
和歌山県の串本町は、本州最南端の町で、豊かな自然と海に囲まれた美しい町です。日本では古くから観光地として知られてきましたが、近年、宇宙産業の最前線としても注目を集めています。
その理由が、ロケット発射場「スペースポート紀伊」です。このロケット発射場は、日本初の民間運営によるもので、小型ロケットを用いた商業衛星の打ち上げが行われる発射場です。
この記事では、スペースポート紀伊の特徴、和歌山の経済への影響や、打ち上げスケジュールなど、気になるポイントを徹底解説していきます。
和歌山串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」を徹底紹介
施設の概要
スペースポート紀伊は、民間企業スペースワン株式会社が運営するロケット発射場です。
こちらの発射場では、小型ロケット「カイロス」を使って、人工衛星を打ち上げる商業サービスを提供しています。
【施設情報詳細】
項目 | 詳細 |
所在地 | 和歌山県串本町 |
運営会社 | スペースワン株式会社 |
完成年 | 2021年 |
主な用途 | 小型ロケットによる商業衛星打ち上げ |
特徴 | 日本初の民間ロケット発射場、カイロスロケットの打ち上げ |
最寄り駅 | JR串本駅 |
アクセス方法 | JR串本駅からバスやタクシーで数分 |
見学情報 | 公式サイトや観光案内所で見学情報が提供される。打ち上げイベントあり |
この施設は本州最南端の串本町に位置し、南に広がる太平洋を背景に、安全かつ効率的なロケット発射が可能です。
日本国内初の民間ロケット発射場
「スペースポート紀伊」の特色は、日本国内初の民間ロケット発射場である点です。
以下は、日本国内のロケット発射場の一覧の赤字箇所をご確認ください。
発射場名 | 設立年月 | 運営会社 |
種子島宇宙センター | 1969年10月 (1966年9月起工) | 宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
内之浦宇宙空間観測所 | 1963年12月 (1962年2月起工) | 宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
スペースポート紀伊 | 2021年12月 (2019年11月起工) | スペースワン株式会社(民間) |
北海道スペースポート | 建設中 (2021年4月起工) | インターステラテクノロジズ株式会社(民間) |
上記のとおり、日本でロケット発射場は非常に少ない中、スペースポート紀伊は民間初のロケット発射場となっています。
北海道スペースポートも民間の発射場です。(2024.10月現在まだ完成には至っていません)今後も民間のロケット発射場が出てきて、宇宙産業が活発化することに期待です。
串本町が選ばれた理由
地理的条件に恵まれていることが理由です。
具体的には以下4点があるようです。
①:地元の理解と協力が得られる
②:射点の南に、陸地や島がない
③:射点の周りに、建物や人がいない
④:本州の工場からアクセスがよい(機体の運搬がしやすい) など
このように、ロケット発射場として有利な条件が揃っていることから、和歌山の串本町が選ばれました。
ロケット(カイロス)の発射実績
スペースポート紀伊では、2024年3月13日に小型ロケット「カイロス初号機」の打ち上げ(初の打ち上げ)が試みられましたが、打ち上げ直後にロケットが爆発して打ち上げが中断される結果となりました。
原因不明のトラブル(飛行の途中で内部の異常を検知して、機体をみずから破壊する機能が作動)により、飛行を中断する措置がとられたようです。
スペースワン社は、詳細なデータの分析を行っており、原因の究明と改善を図った上で、次の打ち上げ(2号機の打ち上げ)に向けた準備を進めています
今後のロケット打ち上げスケジュール
ロケットの打ち上げスケジュールは、カイロスロケット2号機打上げ応援サイトから確認することができます。
「打上げ情報のお知らせ(事前登録)」のボタンから、登録をしておけば、打ち上げ予定や、イベント(見学)のチケット販売情報をメールで受け取ることができるので登録しておくのがおすすめです。
なお、打上げ日が決まるのは打上げ日の1~2か月前となります。
また、スペースワン社のホームページでも、計画に動きがあれば情報が配信されるので、併せて確認しておくといいでしょう。
ロケット打ち上げの見学方法
見学場の場所
見学場は以下の2カ所です(なお、見学場への入場には入場券が必要です)
見学場名 | 住所 | アクセス情報 | 特徴 |
田原海水浴場(串本町) | 和歌山県東牟婁郡串本町田原 | JR串本駅から車で約10分、パーク&ライドでの移動を推奨。 | 2,500名収容。ステージや大型モニターでロケット打ち上げ中継あり。 |
旧浦神小学校(那智勝浦町) | 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町浦神 | JR浦神駅から徒歩約10分、またはパーク&ライドを利用。 | 2,500名収容。ステージイベントと打ち上げ中継が楽しめる。 |
両会場とも、射場より約2㎞ほどで、間近でご見学いただけます。
また、打上げ当日は地元の食材を使った飲食店などの出店が予定されています。
見学の予約方法
カイロスロケット2号機打上げ応援サイトからイベント(見学)のチケット販売が、メールで案内されます。
ロケット発射場による和歌山の経済への影響
和歌山県の試算によると、ロケット発射場の設置による経済波及効果は、10年間で約670億円に達するとされています。
これには施設の建設や運営に伴う直接的な投資効果だけでなく、観光産業への波及効果も含まれています。
ロケット打ち上げの見学者が全国から訪れることが予想されており、観光業の活性化にもつながるわけですね。
まとめ:和歌山の宇宙ビジネスの可能性に期待
スペースポート紀伊は、日本初の民間ロケット発射場として、宇宙産業の新たな可能性を切り開いています。
宇宙教育や関連産業の発展を通じて、和歌山が宇宙ビジネスの拠点として注目され、次世代の科学者や技術者がこの地から生まれてくることも予想されます。
筆者としても、このプロジェクトが地域住民にとって誇りとなり、和歌山県が宇宙産業の先駆者としてさらに発展していくことを強く願っています。
コメント