【トルコが親日になったきっかけ】エルトゥールル号遭難事件をわかりやすく解説

日本とトルコは、地理的には遠く離れた国ですが、深い友情で結ばれています。そのきっかけとなったのが、1890年に和歌山県沖で起きたエルトゥールル号遭難事件です。オスマン帝国（現在のトルコ）から日本へ派遣された軍艦エルトゥールル号は、帰国途中に台風に遭遇し、紀伊大島沖で沈没。多くの乗組員が命を落とす大惨事となりました。しかし、この悲劇の中で日本の人々が見せた無償の救助活動が、後にトルコの人々の心に深く刻まれ、今日に至るまで両国の絆を支えています。

それから約95年後、イラン・イラク戦争の最中に日本人215名がイランの首都テヘランで取り残される危機が発生しました。当時の日本政府は救出のための航空機を派遣できず、日本人は絶体絶命の状況に追い込まれます。そんな中、トルコ政府が2機の特別機を手配し、彼らを無事に救出。このとき、トルコ政府関係者が語った「エルトゥールル号の借りを返しただけです」という言葉は、日本人の心を揺さぶり、両国の特別な関係を象徴するものとなりました。

本記事では、エルトゥールル号遭難事件の詳細や、日本人を救ったトルコの恩返し、そして現在の両国の友好関係についてわかりやすく解説します。さらに、事件の舞台となった和歌山県串本町の「トルコ記念館」や、トルコ国内に建てられた慰霊碑など、歴史を今に伝えるスポットも紹介。2015年に公開された日土合作映画『海難1890』を通じて、多くの人々がこの感動の物語を知るきっかけとなりました。

日本とトルコの関係は、単なる外交関係ではなく、困難な状況でお互いを助け合った歴史の積み重ねによって築かれたものです。この物語を知ることで、国境を超えた人間同士の温かい絆を感じられるはずです。ぜひ最後まで読んで、日本とトルコの友情の軌跡をたどってみてください。

エルトゥールル号遭難事件とは？歴史をわかりやすく解説

エルトゥールル号の航海と遭難の経緯

19世紀末、オスマン帝国（現在のトルコ）は、日本との友好関係を築くため、軍艦エルトゥールル号を派遣しました。エルトゥールル号は1889年7月にイスタンブールを出航し、約11か月をかけて各国を巡りながら日本を目指しました。1890年6月7日、横浜港に到着した艦隊は、明治天皇との謁見を果たし、親善の役割を果たしました。

しかし、エルトゥールル号は長旅による老朽化が進んでおり、修理が必要な状態でした。それにもかかわらず、当初の予定通り日本を離れ、帰国の航路につきます。そして1890年9月16日、和歌山県の紀伊大島沖で台風に遭遇。船体が激しく大破し、海中に沈みました。

この遭難により、乗組員587名が命を落とすという大惨事となりました。生存者はわずか69名で、彼らは懸命に海を漂い、紀伊大島の沖に流れ着きました。この時点で、多くの者が負傷しており、救助を待つことすら困難な状況にありました。

この悲劇は、当時の日本でも大きく報道されました。遠く離れた国の軍艦が友好の証として訪れた後に遭難するという出来事に、多くの人々が心を痛めました。しかし、この遭難がきっかけとなり、日本とトルコの関係はより深いものへと発展していくことになります。

和歌山・串本での救助活動と日本人の献身

エルトゥールル号の遭難を知った紀伊大島（現在の串本町）の住民たちは、夜の暗闇と荒波の中、命がけで救助活動を開始しました。島民たちは手漕ぎの小舟で海へと漕ぎ出し、生存者を岸へと運びました。

救助された69名の生存者は、島の住民たちの家に運ばれ、衣服や食料を提供されました。負傷者には手当が施され、医師が派遣されるまでの間、住民たちは持てる限りの知識と道具で看病しました。当時の日本は決して豊かな時代ではありませんでしたが、それでも異国の人々を助けるために、できる限りの支援を行ったのです。

日本政府も事態を重く受け止め、生存者をトルコへ帰還させるために巡洋艦「比叡」と「金剛」を派遣。1891年1月、救助されたトルコ人たちは、この2隻の巡洋艦によって無事に帰国しました。帰国した乗組員たちは、日本の対応を母国で伝え、その誠実さと親切心がトルコ全土に広まりました。

この救助活動は単なる人道的支援ではなく、日本とトルコの友好の礎を築く重要な出来事となりました。日本の住民が見せた無償の奉仕と勇気は、トルコの人々の心に深く刻まれ、今も語り継がれています。

名言「エルトゥールル号の借りを返しただけです」とは？

1985年、イラン・イラク戦争が激化し、イラクが「48時間以内に上空を飛ぶすべての航空機を撃墜する」と宣言したことで、イランの首都テヘランに取り残された日本人215名が危機に瀕しました。当時、日本政府は政府専用機を持っておらず、自国の航空機を派遣することができませんでした

そのとき、トルコ政府が2機の特別機を派遣し、日本人全員を救出しました。トルコ政府が日本人を迅速に救出した背景には、エルトゥールル号の恩返しがあり、インタビューの際にトルコ政府関係者が発したのが、「エルトゥールル号の借りを返しただけです」という言葉でだと伝えられています。

エルトゥールル号遭難事件から95年後の恩返しは、日本人に大きな感動を与えました。この出来事をきっかけに、日本とトルコの間にはより強い絆が築かれました。今でもトルコでは、エルトゥールル号の話が語り継がれ、日本に対する親しみの気持ちを持つ人が多くいます。

この言葉は、単なる外交的な美辞麗句ではなく、国を超えた人々の心のつながりを表したものです。日本が示した無償の献身が、長い時を経てトルコからの感動的な恩返しへとつながったのです。

エルトゥールル号海外の反応は？トルコと世界の視点

エルトゥールル号遭難事件は、日本とトルコの関係において特別な意味を持ちますが、実は海外でも感動的なエピソードとして知られています。特にトルコ国内ではこの出来事が歴史教育の一環として取り上げられ、日本への感謝の気持ちが今もなお語り継がれています。

トルコの歴史教科書では、エルトゥールル号の遭難と日本人の救助活動が、日本への好意的な評価とともに紹介されることが多いです。日本人による救助活動は、トルコ国内で『日本は信頼できる国』という評価を高めるきっかけとなりました。特に年配の世代にはこの歴史を詳しく知る人が多いのが特徴です。

また、トルコ以外の国々（欧米）でも一部の外交関連メディアやドキュメンタリーで「感動的な日土友好の象徴」として取り上げられる例があります。特に1985年のイラン・イラク戦争時のトルコによる日本人救出との関連で報道されることが多いです。このように、エルトゥールル号事件は「善意が巡り巡って恩返しにつながる」という人道的な観点からも評価されています。

さらに、2015年に公開された日土合作映画『海難1890』は、トルコ国内でも多くの関心を集め、多くの人々が劇場に足を運びました。映画を観たトルコの人々は、日本人の無償の善意に感動し、改めて「日本はトルコにとって特別な国である」という認識を強くしたと言われています。

このように、エルトゥールル号遭難事件は単なる過去の出来事ではなく、現在に至るまでトルコと日本の友好関係を支える重要な要素の一つとなっています。そして、それはトルコ国内に留まらず、世界的にも「異国の人々が互いに助け合う美しい歴史」として語り継がれています。

エルトゥールル号なんJでの話題とは？

日本のインターネット掲示板「なんJ」では、エルトゥールル号遭難事件がトルコが親日国である理由の一つとして頻繁に取り上げられています。特に、「日本がトルコを助け、100年後にその恩が返ってきた」という話は「まるで漫画のような奇跡の実話」として感動を呼んでいます。

なんJでは、この事件が「世界に誇れる日本の偉業」として語られることが多く、スレッド内では「エルトゥールル号で助けたおかげで日本人はイランから脱出できたんやな」という意見や感謝のコメントがよく見られます。また、トルコ政府が迅速に日本人の救出を決定し、救援機を手配したことについても、「本当に信じられないほどの恩義」「日本政府よりも頼れる」といった感想が寄せられています。

さらに、トルコ国内の歴史教科書やテレビ番組で「日本は誠実で信頼できる国」として紹介されていることを知ったなんJ民たちは、「こんな素晴らしい国があるのか」「日本ももっとトルコを大切にしないといけない」といったコメントを残しています。また、2015年の映画『海難1890』についても、「もっと日本国内で宣伝すべきだった」「見たら絶対泣くやつ」といった評価が多く、エルトゥールル号の物語がもっと広く知られるべきだという意見も見られます。

一方、なんJらしいユーモアを交えたスレッドもあります。例えば、「もしエルトゥールル号が遭難しなかったら、今ごろ日本とトルコはここまで仲良くなっていなかった？」という仮説が立てられたり、「エルトゥールル号の話は教科書にもっと載せるべきやろ！」という議論が展開されたりすることもあります。

エルトゥールル号遭難事件のその後や教訓

エルトゥールル号遭難事件その後の影響

エルトゥールル号の遭難事件は、単なる海難事故ではなく、日本とトルコの友好の象徴となりました。この事件を機に、日本とトルコの交流が深まり、現在も両国の親善関係は続いています。

和歌山県串本町には、「トルコ記念館」や「エルトゥールル号慰霊碑」が建てられ、毎年9月には慰霊祭が行われています。また、トルコ国内でもこの事件は重要視されており、イスタンブールの日本公園にはエルトゥールル号に関する記念碑が設置されています。

2015年には、日土合作映画『海難1890』が公開され、エルトゥールル号の遭難と1985年の日本人救出劇の2つのエピソードを描きました。この映画はトルコ国内でも話題になりました。

さらに、日本とトルコの経済・文化交流も活発に行われており、日本企業のトルコ進出や、トルコ文化イベントの開催など、さまざまな分野で協力関係が築かれています。こうした背景には、エルトゥールル号遭難事件を通じて生まれた、両国の深い信頼と敬意があるのです。

エルトゥールル号遭難事件は、日本とトルコが互いに助け合うことの大切さを示し、その精神は今も両国の関係に生き続けています。

串本町とトルコの関係は今も続く？

エルトゥールル号の遭難現場である和歌山県串本町は、現在もトルコとの友好関係を深める拠点となっています。町内には「トルコ記念館」や「エルトゥールル号慰霊碑」が設置され、毎年9月16日前後には慰霊祭が行われています。この慰霊祭には、日本とトルコの関係者が出席し、両国の友好を再確認する機会となっています。

また、串本町とトルコの間では、自治体レベルでの交流も活発に行われています。トルコの大使館関係者や留学生が訪れ、串本の住民たちと交流を深めるイベントが開催されることもあります。さらに、トルコのエルドアン大統領も日本訪問時に串本町を訪れ、両国の歴史的なつながりを強調しました。

観光面においても、エルトゥールル号遭難事件に関心を持つトルコ人観光客が串本町を訪れることが増えています。特に、トルコ記念館では事件の詳細や、当時の日本人の救助活動について学ぶことができるため、歴史好きの旅行者にも人気のスポットとなっています。

近年では、さらに関係を深めるために、日本とトルコの学生交流や文化交流のプロジェクトも進められています。このように、串本町は単なる遭難事故の地ではなく、トルコとの友好を象徴する場所として、今も特別な役割を果たしています。

エルトゥールル号の歴史を描いた映画とは？

エルトゥールル号遭難事件は、日本とトルコの特別な関係を象徴する実話として、映画化されています。その代表的な作品が2015年に公開された日土合作映画『海難1890』です。この映画はエルトゥールル号の遭難事件と、1985年のイラン・イラク戦争時のトルコによる日本人救出の二つの歴史的出来事を描いた作品で、多くの人々に感動を与えました。

『海難1890』は、日本とトルコの合同制作という点でも注目され、両国の俳優が出演し、それぞれの国の視点から歴史を描いています。特に和歌山県串本町での撮影が行われたことにより、事件当時の雰囲気をリアルに再現しています。また、トルコ側の場面では、エルトゥールル号の生存者たちが帰国後にどのように日本の善意を伝えたのか、また1985年の恩返しの背景についても詳しく描かれています。

映画公開後、日本とトルコの両国で大きな反響を呼びました。トルコ国内では「日本とトルコの友情を再認識する作品」として高く評価され、多くの観客が劇場に足を運びました。また、日本国内でも「あまり知られていなかった歴史を知るきっかけになった」と話題になり、歴史ファンや国際関係に関心のある人々から注目されました。

映画『海難1890』は、単なる歴史映画ではなく、国を超えた助け合いの精神を伝える感動作です。この映画を通じて、エルトゥールル号遭難事件が現代にも続く日土友好の礎であることを多くの人々が再認識する機会となりました。

エルトゥールル号事件を巡る観光スポット紹介

エルトゥールル号遭難事件の歴史を今に伝える観光スポットが、日本とトルコの両国に存在しています。特に、和歌山県串本町には「トルコ記念館」や「エルトゥールル号慰霊碑」などの施設があり、事件の詳細を学ぶことができます。

トルコ記念館は、エルトゥールル号に関する資料や当時の状況を伝える展示が充実しており、訪れることで事件の歴史的背景や、日本人の救助活動の様子をより深く理解することができます。また、館内には遭難したエルトゥールル号の模型や、救助された生存者たちの証言なども展示されており、訪問者は当時の悲劇と人道的支援の重要性を学ぶことができます。

エルトゥールル号慰霊碑は、遭難現場を望む場所に建てられており、トルコと日本の友好の象徴となっています。慰霊碑の近くには「トルコの木」と呼ばれるトルコから寄贈された樹木が植えられており、両国の深い絆を感じられるスポットになっています。毎年、慰霊祭が開催され、日土両国の関係者が集まり、犠牲者への哀悼の意を表しています。

トルコ国内では、イスタンブールの「日本公園」にエルトゥールル号遭難事件を記念するモニュメントが設置されています。また、トルコの首都アンカラには、日本との友好関係を記念した施設もあり、エルトゥールル号の物語が広く知られるきっかけとなっています。こうした観光スポットは、歴史を学ぶだけでなく、国境を超えた人々の絆を感じることができる場所として、多くの人々が訪れています。

エルトゥールル号の物語が伝える教訓とは？

エルトゥールル号遭難事件は、単なる海難事故ではなく、人道的な支援が生んだ「国を超えた友情の物語」です。この事件が示す最も重要な教訓は、「善意の行いは、時を超えて恩返しの輪を生む」ということです。実際、日本が行った救助活動は、95年後のイラン・イラク戦争時にトルコが日本人を救出する出来事へとつながりました。

また、この事件は異文化間の相互理解の大切さをも教えています。日本の住民たちは、言葉も文化も異なるオスマン帝国の人々を助け、誠心誠意の看護を行いました。それが後の世代へと受け継がれ、今日の日本とトルコの友好関係の礎となっています。私たちもこの歴史から、国籍や文化の違いを超えて助け合う精神の大切さを学ぶことができます。

さらに、エルトゥールル号の物語は人間の持つ善意と勇気を示すものでもあります。串本町の住民たちは、自分たちの生活も決して豊かではない中、異国の人々の命を救うために立ち上がりました。彼らの行動は、現代社会においても「困っている人を助けることの尊さ」を示す大きな教訓となるでしょう。

この事件を振り返ることで、私たちは「助け合いの精神が未来に希望をもたらす」という普遍的な価値を改めて認識することができます。エルトゥールル号遭難事件は、決して過去の話ではなく、今を生きる私たちにとっても、人道的な行動の重要性を再確認させてくれる出来事なのです。

エルトゥールル号遭難事件についてわかりやすく総括

記事のポイントをまとめます。

• トルコが親日国とされる理由の一つにエルトゥールル号遭難事件がある。
• 1889年7月、オスマン帝国は日本との友好関係を築くため、軍艦エルトゥールル号を派遣した。
• エルトゥールル号は各国を巡りながら約11か月をかけて日本へ向かい、1890年6月7日に横浜港に到着。
• 明治天皇への謁見を果たし、親善の役割を果たした。
• 帰国のため出航したが、1890年9月16日、和歌山県紀伊大島沖で台風に遭遇し、座礁・沈没した。
• 乗組員587名が死亡し、生存者は69名だった。
• 紀伊大島（現在の串本町）の住民が夜の荒波の中で救助活動を行い、生存者を救助した。
• 住民は生存者に衣服や食料を提供し、医師が到着するまで手厚く看病した。
• 日本政府は巡洋艦「比叡」と「金剛」を派遣し、救助されたトルコ人を1891年1月に無事帰国させた。
• トルコでは日本の救助活動が広く伝わり、日本への感謝の気持ちが広まった。
• 1985年、イラン・イラク戦争時にイラクが「48時間以内に上空を飛ぶ航空機を撃墜する」と発表。
• 日本人215名がイランのテヘランに取り残されるが、日本政府は政府専用機を持たず航空機を派遣できなかった。
• トルコ政府が特別機2機を派遣し、日本人全員を救出した。
• この救出劇の際に「エルトゥールル号の借りを返しただけです」という言葉が伝えられた。
• この出来事がきっかけで、日本とトルコの友好関係はさらに強まった。
• トルコではエルトゥールル号の話が語り継がれ、日本への親しみを持つ人が多い。
• エルトゥールル号遭難事件は、トルコの歴史教科書にも記載されており、日本は「信頼できる国」と評価されている。
• 欧米の一部の外交関連メディアやドキュメンタリーでも「感動的な日土友好の象徴」として取り上げられることがある。
• 2015年公開の映画『海難1890』は、エルトゥールル号遭難と1985年の日本人救出を描いた日土合作映画。
• 映画はトルコ国内でも関心を集め、両国の友情を再確認する作品として評価された。
• 和歌山県串本町には「トルコ記念館」や「エルトゥールル号慰霊碑」があり、毎年9月に慰霊祭が行われる。
• イスタンブールの「日本公園」やアンカラにもエルトゥールル号に関する記念碑がある。
• 串本町ではトルコとの自治体交流や文化交流が行われており、トルコ人観光客も訪れる。
• エルトゥールル号の事件は「善意が巡り巡って恩返しにつながる」歴史の象徴とされる。
• この歴史を伝え続けることが、日本とトルコの友好関係を強化することにつながる。

エルトゥールル号遭難事件は、日本人の助け合いの精神と、トルコの恩返しを象徴する感動的な物語です。130年以上経った今でも、この出来事は日本とトルコの友好の証として語り継がれています。

今後もこの歴史を伝え、両国の関係を大切にしていくことが重要だといえるでしょう。